遺品整理で大事なことは、まず『貴重品を確保する』ことになります。これはもし業者に頼むケースでも、なるべくなら事前に自分でやっておいたほうがいいです。
- 理由は『後悔しないため・手続きに必要なため』です。
この記事で分かること
- 貴重品ってどんな物?
- 貴重品を探すポイント
- 見つけた貴重品はどうする?
遺品整理は、亡くなった方の意思を尊重して片付けられるのが、いちばん理想的ですよ。
遺品整理はまず貴重品の確保
最初にも書きましたが、遺品整理ではじめにやるのがまず貴重品の確保になります。
おすすめな順番
- 遺言書・エンディングノートを探し、貴重品の保管場所や処分の仕方など、故人の意思を尊重。
- 遺言書・エンディングノートがない場合、自分で現金・通帳・印鑑・貴金属を探索
- 保険証券・不動産や土地の権利書・証券など、相続に必要な書類を探索
遺言書は亡くなった方の最後の声。もし発見したら故人の意思を尊重し、遺品整理をしよう!
遺品整理での貴重品って?
貴重品と聞くと、現金や貴金属を思いうかべる方も多いかと思います。
もちろん正解なのですが、遺品整理における貴重品はこれだけでなく、手続きに必要な書類なども『貴重品』となります。
ここではあらためて、どんな物が貴重品になるのか紹介していきますね。
遺品整理における貴重品
現金・貴金属 | 現金 通帳 印鑑 金塊 指輪 宝石 商品券 |
書類 | 金融資産 有価証券 借金の書類 生命保険証書 公共料金の書類 プロバイダの書類 携帯電話の契約書 年金手帳や関係書類 賃貸契約やリース契約書 家や土地の権利書や契約書 |
カード | 健康保険証 運転免許証 パスポート クレジットカード キャッシュカード マイナンバーカード 公共交通機関の高齢者優待パス |
その他 | 写真 骨董品 遺言書 携帯電話 金庫と鍵 エンディングノート |
上記の表からも分かるとおり、遺品整理において書類関係は種類がとても多めです。サクッと分類すると、年金、保険、不動産、債務、インフラ(公共料金)、金融などに分かれます。
【 ワンポイントアドバイス 】
- 年賀状や郵便物も、友人や知り合いなどに連絡を取るのに便利。
- 通帳がないインターネットバンクの可能性も
一度に整理するのはかなり大変なので、書類関係は『とりあえず保管』でもOKです!
遺品整理で貴重品を見つけよう
生前にどんな場所に貴重品があるのか、できたら聞いておくのがベスト。日頃のコミュニケーションがあるorない、こういう場面で役に立ちますね。
- 把握しておくことで、貴重品を誤って処分することがなくなります。
とはいえ急な場合もありますし、そもそも亡くなった方が忘れているケースさえあります。ここでは実際に、遺品整理業者が貴重品を見つけだした場所を紹介します。
貴重品がよくある場所
- 冷蔵庫
- 屋根裏
- 床下収納
- 仏壇周辺
- 書棚の本
- タンスの中
- 押し入れの中
- カバンの中(内ポケットも)
- リビング・キッチン・書斎・寝室の引き出し
【 例外 】貸金庫※あえて家の外に保管しておく場合も。
貴重品だけでなく、現金を『へそくり』として隠してあるケースもあります。へそくりは隠すことが目的なので、本人が黙っていると本気で見つからないのがほとんど。
しかもへそくり人口はわりと多く、半数以上の人が過去に隠した経験があるそうです。遺品整理をする際には、へそくり も意識してみてください。
遺品整理後の貴重品の行方
遺品整理から出た貴重品は、大きく下記の3つに分類されます。
貴重品の分類
- 残す
- 売る
- 捨てる
遺族がそのまま使う場合もあるでしょうし、売って現金にしたいケースもあるかもしれません。下記で解説していきます。
【残す】自分で使う
指輪・宝石などは、遺された方が自分で使うこともあるかもしれません。
思い出が詰まった物が受け継がれるのは素敵!
しかし貴重品ということで、高額な物を相続するとなると注意点もあります。また亡くなった人の物を使うということで、使う人の『気持ちの整理』も必要かもしれません。
自分が使っていた物を次の世代の人が使ってくれるなら、亡くなった方もそれがいちばん嬉しいかと思いますね。
【残す】保留にする
自分では使わないけど、捨てるのは迷う。遺品整理において『とりあえず保留』は、よくあるパターン。とくに亡くなった方が『持ち家』だったケースだと、多くみられる傾向にあります。賃貸・借家は早急に片付ける必要がありますが、持ち家の場合だとそうとは限らないですね。
- しかし、保留は『片付け』ではないので、当然ですがそのまま放置されることになります。
大きな家具や電化製品・量が多い雑貨類などは整理するのも大変ですが、基本的に貴重品は大きさがコンパクトな場合が多いです。保管費用がかかるわけでもないので、タイミングをみて売る・処分する、でいいかと思います。
【残す】形見分け
亡くなった人の物を『親しかった人で分け合う』という方法に、形見分けというものがあります。処分や売るでなく、親しい人に『譲る』という方法です。
ただ、形見分けは絶対にやることでなく宗教的な儀式の1つなので、やらなくてもOKです。とくに昨今だと時代の流れから、やらないケースも増えてきています。
形見分けについて、もっと詳しく知りたい方は 形見分けの意味を解説。マナーや注意すべきポイントを紹介 も参考にとうぞ。
【売る】業者に依頼
自分には必要がなくても価値がありそうな物は、売ることで現金に変えられます。
自分で売るのが大変であれば、業者に頼めば簡単!
各種買取専門業者があるので、少しでも高く売りたい方は下記の【売る】自分で売る のほうがいいかもしれません。
とにかく『すべて丸投げで任せたい』という方は、遺品整理業者 に頼むことで貴重品の探索や売買はもちろん、片付けやその他の手続きまで代行してくれます。遠方であったり体力的にキツい人だと、すべて業者に頼むというのもありかと思いますね。
【売る】自分で売る
貴重品みたいな小さなものであれば、近所の買取り業者やリサイクルショップに持ち込めば、経費はかかりません。
- 少しでも高く売りたいなら、多くの買取り業者に見積もりをとるのがおすすめです。
自分でお店を『はしご』するのもありですが、今は Webやインターネット でも査定できます。
自分で売りたい方は 亡くなった人の物を高く売るコツを紹介。意外な物が売れます! も参考にしてください。
【捨てる】供養する
貴重品の中には亡くなった方の『気持ち・念』が連想されて、手放しにくい物もあるかもしれません。
- 人形・ぬいぐるみ
- 写真
- 仏壇
上記のような物は魂が宿っていそうで、捨てるのに抵抗がある人も多いです。
人が連想される物は捨てるのに困る!
貴重品の中でも貴金属や指輪・宝石などは、亡くなった方が身につけていた物なので悩む人もいるかもしれません。
このような場合は『供養する』といった処分方法があります。物から魂を抜く儀式なので、供養されたものは『ただの物』になります。近所のお寺や神社などに頼めば供養してくれるので、気持ち・念が気になる方にはいいかもしれません。
また WEBから手配・予約ができる!法事・法要の僧侶手配サービス【よりそうお坊さん便】 このようなサービスもあったりしますよ。
【捨てる】自分で処分する
貴重品をはじめ自分で遺品を処分できるなら、これに越したことはありません。費用が圧倒的に安く抑えられます。
お金に変えられるかもしれない貴重品は、捨てるよりも売った方が現金化できるのでおすすめですが、めんどくさければそのまま処分してもいいかもしれません。
- しかし遺品の処分にはいろいろなルールもあるので、注意が必要です。
遺品整理の貴重品4つの注意点
不用品とは違い、貴重品にはその後のお金や相続問題が関わってきます。なので取り扱いには注意点もあります。
貴重品の取り扱い注意点
- 相続人で話し合う
- 相続放棄するなら拒否
- 法的な手続きがあるかも
- 30万以上だと課税対象
ここでは、4つの注意点を紹介します。
相続人で話し合う
とくに貴重品は現金化すると高額になることもあります。そのため誰が相続するかで、親戚同士トラブルになる事例はよくあります。
考え方には個人差があるので、誰が何を相続するのか話し合い、事前にみんなが納得しておく必要があります。
相続問題から親戚トラブルになったら、亡くなった方も悲しい…
相続放棄するなら拒否
相続には『お金がもらえる』といったプラスのイメージがあるかもしれませんが『マイナスになる相続』があるというのは、覚えておいた方がいいです。亡くなった方に借金などがあった場合、遺産や貴重品などを相続してしまうと、この借金は相続人が引き継がないといけなくなります。つまり、あなたが借金を払うということす。
- 遺産や貴重品などの相続を放棄すれば『遺産放棄』したとなり、借金を引き継ぐ必要はありません。
相続放棄するなら、遺産や貴重品を相続するのはNG!
法的な手続きがあるかも
貴重品を相続するとき、物によっては手続きが必要になるケースがあります。
- 保険証書
- 有価証券
- クレジットカード
- 不動産関係の書類
- 銀行の預金通帳・キャッシュカード
このような物は相続財産となり『お金』が関わってくるので、相続するには手続きが必要になります。
【 ポイント 】
国民年金・厚生年金を受け取っていた場合、役所や社会保険事務所に年金証書と死亡届・支給請求書を提出する必要がある(死亡後2週間以内)。※不正受給として問題になります
書類は手続きに必要な貴重品!
30万以上だと課税対象
貴金属や美術品・骨董品などは価値が高い物(価値が30万円を超える物)の相続には注意が必要です。
- 相続 : 相続税だけ
- 売る : 譲渡所得の対象で課税対象
【 譲渡所得とは 】
亡くなった人から相続した遺品を売って得た利益
貴重品を相続するには、税金 のことも気にする必要があります。
遺品整理で貴重品が見つからない
亡くなる前にあらかじめ貴重品の場所を聞いておけばいいですが、そうでないと探すのはとても大変です。『○○を探して欲しい!』といったことは、遺品整理業者にはよくあるようです。
貴重品がよくある場所
- 冷蔵庫
- 屋根裏
- 床下収納
- 仏壇周辺
- 書棚の本
- タンスの中
- 押し入れの中
- カバンの中(内ポケットも)
- リビング・キッチン・書斎・寝室の引き出し
しかしどうしても見つからない場合、そもそも自分では探すことができない状況の場合、対処方法は下記の2つです。
- 諦める
- 誰かに頼む
『諦める』は簡単ですが『誰かに頼む』場合は、ぜひ信用できる人に頼んでください。それは知人であっても、業者であっても同じです。悪質な業者がいるのも事実なので、遺品整理業者を選ぶ ときは慎重に検討するようにしてください。
【遺品整理】あなたにとっての貴重品
遺品というのは『亡くなった人の物』であり、貴重品というのは
現金・貴金属 | 現金 通帳 印鑑 金塊 指輪 宝石 商品券 |
書類 | 金融資産 有価証券 借金の書類 生命保険証書 公共料金の書類 プロバイダの書類 携帯電話の契約書 年金手帳や関係書類 賃貸契約やリース契約書 家や土地の権利書や契約書 |
カード | 健康保険証 運転免許証 パスポート クレジットカード キャッシュカード マイナンバーカード 公共交通機関の高齢者優待パス |
その他 | 写真 骨董品 遺言書 携帯電話 金庫と鍵 エンディングノート |
このような物だと上記でも紹介しました。
しかし貴重品というのは『物』だけでないと僕は思っています。過去に一緒に過ごした『時間』は、形としては残らない思い出・記憶として、大切な貴重品だと思います。
- 遺品整理というのは、思い出の整理でもあるのです。後片付け作業ではありません。
貴重品が『一緒に過ごした時間』って、なんだか素敵ですよね…。