遺言書の作成なんて、初めての経験で当たり前です。
知らなくて当然なんですが、知っていないと書き方によっては効力を発揮せず、遺言書は無効になってしまいます。
- 自分の意図をきちんと伝えるためには、遺言書はルールに沿って正しく書く必要があります。
この記事では自分で遺言書を作成したいと考えている方に、テンプレート付きで作成方法を解説しています。ぜひ参考にしてください。
この記事で分かること
- 遺言書の作成は自分でできる?
- 遺言書を作成する事前知識
- 遺言書のテンプレート
効力を持った遺言書の作成は自分でできる?
- 遺言書の作成を、自分で行うことはできます。
署名・押印をするだけで作成ができて、手続きや証人も不要、費用もかからない遺言書もあります。業者に依頼しなくても、自分で作成することはできます。
知らない方もいるかもしれませんが、遺言書には種類があり下記の3つに分類されます。
遺言書の種類
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
この中で、自分で作成した遺言書は『自筆証書遺言』にあたります。
- 作成が簡単
- 費用がかからない
- 遺産分配を自由に決められる
- 証人が不要のため内容が守れる
といった特徴がありますが、簡単に作成できる反面デメリットもあります。
- 発見されない・紛失・盗難
- 文章がねつ造されるリスク
- 遺言書が無効になるケースも
- 家庭裁判所で検認をする必要がある
手軽に作成できて保管も自分で行えますが、上記のようなリスクも生じることになります。
自筆証書遺言だと認められないケースがあるため、自分で作成する場合にはきちんと法律に基づいた書き方・手続きを守ることが重要。
- 遺言書にきちんと効力を持たせたいなら『公正証書遺言』にする方法もあります。
公正証書誓約書は、公証人が作成し公証役場に保管される誓書のこと。
偽造や紛失のリスクが低く、遺言の有効性が高いことが特徴。ただし、手続きに時間と費用はかかることになります。
遺言書の作成を自分でやる5つの事前知識
具体的な書き方は、次の項目で紹介します。
ここでは自分で遺言書を作成する場合の『心構え』として、前もって知っておくといいポイントを解説します。
遺言書を作成する前に知っておこう
- 『遺言書』と『遺書』は違う
- 無効になるケースもある
- 親族が内容を認めない場合も
- 心情の変化による定期的な見直し
- 意図せぬ事態なケースを考えておく
それぞれ解説していきます。
『遺言書』と『遺書』は違う
- 『遺言書』と『遺書』は似ているようですが、それぞれ異なる意味を持ちます。
【遺言書】
自分の死後に財産の相続や遺産の分配に関する意思を残す法的な文書
【遺書】
自分の死後に家族や友人、知人などにメッセージや言葉を記載した書面
遺言書には法的な効力があり、民法によって規定されています。相続がスムーズに行われるための重要なツールといえます。なのでルールがあり、規定に沿った書き方でないと無効になることもあります。
一方で遺書は遺書は法的な力を持たず、法律的に財産の分配を指定することはできません。決まった形式や書かなければならない内容は定まっておらず、自由に書くことができます。
似ているようですが用途が異なるので、きちんと使い分ける必要があります。
無効になるケースもある
自分で作成した遺言書の場合、書き方やルールに不備があると『無効』になるケースもあります。自筆証書遺言は自分で簡単にできる反面きちんと作成しないと、その効力は発揮できなくなります。
具体的には、下記のようなケースが無効になります。
- 曖昧な表記な場合
- ビデオレターはNG
- 日付・書名・捺印がない
- 十分な判断能力がない状態で作成された場合
- 遺言書に含まれる要件・条件が実行不能である場合
これらに該当する遺言書は、無効になります。
- 有効な遺言書をきちんと作成したいなら、弁護士や司法書士に相談すれば間違いありません。
親族が内容を認めない場合も
遺言書の内容は、100%あなたの書いた通りにならない場合もあります。
遺言書は法的な効力を持つ誓書には変わりないのですが、内容が遺族に賛同されないと『無効になるケース』もあります。
例えば遺言書に『A子に遺産のすべてを相続させる』と書いたとしましょう。
しかし他の相続人のB男、C子が『それには納得できない!』となった場合、A子がその意見に納得すれば、遺言書の内容は無効にすることができます。
相続人全員の一致という条件が必須になりますが、遺言書とは異なる分け方で遺産を分けることが可能になります。
- これは法的にも認められていることなので、100%あなたの書いた通りにはならない可能性もあるということです。
心情の変化による定期的な見直し
作成した遺言書の『定期的な見直し』はとても重要です。
作成後も、状況・心情の変化があるかもしれません。ときどき見返して、内容を最新の状態に保つことが重要です。
- 意思の変化
- 資産の変化
- 家族・相続人の変化
上記のように遺言書を作成してから時間が経過すると、意図しない変化も起きたりします。
現在の状況と照らし合わせて、資産や相続人に変化がないか確認しましょう。遺言書の見直しは、家族や関係者に対する責任も果たす重要な行為になります。
必要に応じて遺言書の変更や修正を検討し、変更が必要な場合には、専門家の助言を受けることも方法の1つです。
意図せぬケースも考えておく
自分の想いを遺言書に記載しても意図せぬケースで、希望に沿わない場合もあります。
時間が経過するほど、作成時とは状況が異なる可能性は大きくなります。遺言書には、自分の意図しない場合のことも考えて作成しておくといいです。
意図せぬケースとは、例えば下記のような場合です。
あなたには長男と長女と、二人の子供がいるとしましょう。
長女は結婚して家を出たので『長男に家を相続させる』と書きました。しかし長男はあなたより先に、事故で亡くなってしまいました。
この場合、
- 長男の子供が相続する(代襲相続)
- 長女が代わりに相続する
このようなことが考えられます。
せっかく遺言書を書いても不慮の事故などで、意図しないケースが起こることがあります。このような万が一の事態を防ぐため、遺言書には『予備の案』も記載しておくといいです。
男に家を相続させる。ただし長男に万が一のことがあれば、娘に相続させる。
想いをきちんと相続させたいなら、意図せぬケースのことも考えて遺言書は作成するべきです。
【見本あり】有効な遺言書を自分で作成する
遺言書を自分で作成するポイントは、下記の5つです。
遺言書の作成ポイント
- 本人による手書き
- 署名・捺印をする
- 作成した年月日を書く
- 書き間違え・誤字は書き直し
- 『誰』に『どれだけ』を明確に
遺言書を書く目的は『誰に相続させるのか』をはっきりさせて、親族どおしのトラブルを減らすため。なので『誰に』『何を』という部分は、きちんと記載する必要があります。
『令和〇〇年〇月吉日』などのような省略した書き方はNG。捺印は実印が理想で『印鑑証明』も添えると、より完璧です。
では、遺言書の記入例を紹介します
このように自筆で書かないと、遺言書そのものが無効になります。そして重要になるポイントが下記。
- 相続させる人の生年月日を記載
- 『土地・建物』の所在地、構造・面積はきちんと記載
また『財産目録』として、個人で所有している財産や資産を一覧化した文書を、遺言書に添付するケースもあります。
財産目録に含まれる情報
- 【財産の種類】
- 不動産
- 現金
- 預金
- 株式
- 債券
- 保険
- 骨董品
- 貴金属
- 【負債の情報】
- 借金
- 買掛金
- 未払い家賃
- 滞納税
2019年1月から財産目録についてはパソコンでの作成でもよくなったので、遺言書と違って手書きである必要はありません。
- ただし書いてある面には、署名押印が必要になります。(遺言書とは異なる印鑑でも問題なし)
【保管方法】
書き上げた遺言書は封筒に入れ、糊付けするのが理想。印鑑証明書を同封するとさらに良いです。
とはいえ遺言書なんて、初めて書くことがほとんどかと思います。
困ったときには『弁護士』 『司法書士』へ相談することもできますよ!
大変な生前整理は業者に任せるのもアリ
遺言書の作成だけでなく、生前整理でやることはたくさんあります。
- 財産の把握・整理
- 身の回りの整理・処分
- エンディングノートの作成
身の回りの整理・処分といっても、家の中の物を処分するだけでも大変な作業になります。
身の回りの整理・処分
- 衣類
- 家電・家具
- 思い出の品
- 貴重品の整理
あなたの身の回りを一度、見渡してみてください。自分だけで片づけられるでしょうか?
- 生前整理を考え始めたら、遺品整理業者に相談してみるのも一つの方法です。
遺品整理業者は亡くなったあとの整理だけでなく、亡くなる前の片づけの手助けもしてくれます。下記の記事では遺品整理業者のことをよく知らない方のために、優良な業者 を紹介しています。
遺言書の作成は、生前整理のほんの一部です。他にもやることはたくさんあります。
ぜひ参考にしてみてください。