生前整理って『家の片付け』だけでなく、他にもやれることはたくさんあります!
自分の体が動くうちに身の回りを整理しておくことで、少しでも子供や親族の負担を減らすことができます。逆に言えばそのままにしておくと、遺された人の『大きな負担になる』ということですね。
- この記事では、生きている間に自分でできる『片付け』を分類ごとに紹介しています。
- 生前整理って何?
- 何をしたらいいの?
このような疑問をお持ちの方に、読んでもらいたい内容になっています。
この記事で分かること
- 生前整理をやることの意味
- 生前整理をやるメリット
- 生前整理でやること
身の回りの整理を始める『ヒント』になれば幸いです。
下記の目次をクリックすると、読みたい場所へ飛ぶこともできます。
生前整理をやることの意味・向き合い方
生前整理をやる意味として、ざっくり下記の2点が大きな理由になってきます。
- 身の回りが片付く
- 遺される方の負担軽減
まずこれらが整理をする『大きな目的』となります。
とはいえ、生前整理は簡単な作業ではありません。所有物・資産の把握、作成書類や手続きなど、いざ始めてみるとその大変さに諦めたくなるかもしれません。
物を運んだり、体力的な心配もあるな…
生前整理を始める前に心構えとして、下記のポイントを意識しておくといいかと思います。
生前整理をうまく進めるポイント
- 親族と相談
- 一度に終わらようとしない
- 前向きな気持ちで取り組む
- 友人・遺品整理業者に相談
- 生前整理は自分のため・遺される親族のために行う作業です。
つらい作業だと思うと、ただのきつい作業になってしまうので『時間をかけ自分のペース』でやることが続けられる秘訣です。
生前整理をやることのメリットは?
上記でも説明したとおり、生前整理をやる意味は
- 身の回りが片付く
- 遺される方の負担軽減
この2点が目的であり、同時に最大のメリットになります。
- とはいえ残念ながら、デメリットも同じように存在します。
- 時間・労力・費用がかかる
- 悩みが増えて作業が進まない
生前整理をするということは『片付け・処分』や『把握・整理』など、実際に労力を使う行動なので、上記のようなデメリットも発生します。
しかし本人や親族、それぞれが得られるメリットはたくさんあるので、自分の体が動くうちに少しずつでも整理し始めることはとても良いこと!
せっかくなので、もう少し具体的に得られるメリットをそれぞれ紹介しときます。
本人が得られるメリット
- 物が減り家庭内での転倒防止
- 親族に自分の意志を伝えられる
- これからの人生を考えるきっかけ
- 後悔を減らすことができる
- 所有物の把握
親族が得られるメリット
- 遺言があれば判断に悩むことがなくなる
- 亡くなった人が望む形での葬儀・相続が行える
- 片付け・調べごとの負担軽減
- 親族によるトラブルが減る
- 病気や延命措置などの判断に悩まない
生前整理によって、親族は遺品整理にかかる『時間』を減らすことができます。
そして本人は今までの人生と、これから先のことを考える『時間』のきっかけになるかと思います。
【物の整理・把握】生前整理やること一覧
生前整理って、具体的にはどんなことをするんだろう?
まずここでは『物の整理・把握』として、断捨離や資産の把握などについて紹介していきます。
生前整理は物を片付けるだけでなく、他にもやっておくと便利なことがたくさんあります。
物の整理・把握やることリスト
- 所有物の断捨離
- 財産目録の作成
- デジタルデータの整理
- 思い出の整理
- サービスの解約・見直し
では解説していきます。
所有物の断捨離
生前整理と聞いて、真っ先に思いつくのがこの『物の片づけ』かもしれませんね。
自分が亡くなった後に残される遺品を事前に整理する作業で、とても重要な項目になります。身の回りが片付くだけでなく、遺族に負担をかけないようにすることができます。
所有物の断捨離をうまくすすめるコツは、
- 残す物
- 捨てる物
- 保留にする物
上記の3つに分類することです。
- 所有に悩む物は『保留にする物』という形で、一旦は保管しておくのがポイント。
断捨離作業はとても大変なので例えば1日の作業時間を決めて、徐々に整理していくと長く続けられるかと思います。
生前整理で断捨離を進めることで物だけでなく、思い出の整理もできます。自分自身の人生を振り返る時間にもなるのではないでしょうか?
断捨離 については、下記の記事でもっと詳しく解説しています。
財産目録の作成
財産目録とは自分の『財産の内容』を一覧にした表のことです。
不動産や預貯金などプラスになるものだけでなく、借金やローンなどマイナスになるものも含まれることになります。
作成する理由は、あなたが亡くなって遺産分割を行う際に、必要な情報を提供することができるためです。
また遺言書の作成や、相続税の申告などもスムーズに行うことができます。具体的には、下記のような内容になります。
- 個人情報
- 氏名・住所・電話番号・メールアドレス・生年月日など。
- 不動産
- 所有する家・アパート・土地・商業用不動産など。住所・登記情報・評価額・所有権証明書なども記載。
- 乗り物
- 車・バイク・船など。メーカー・モデル・年式・登録番号・保険情報・評価額なども記載。
- 銀行口座
- 銀行名・支店名・口座番号・預金残高・定期預金など。
- 保険会社名
- 契約番号・保険内容・保険金額・満期日なども記載。
- 証券
- 株式・預金・投資限度額・ETF・REITなど。 証券会社名・口座番号・保有証券・数量・評価額なども記載。
- 年金・退職金
- 公的年金・企業年金・個人年金など。受給開始年齢・受給額・受給期間・受給方法なども記載。
- 貴金属・宝石
- 金・プラチナ・ダイヤモンド・宝石類など。種類・重量・評価額なども記載。
- 貴重品・コレクション
- 美術品・骨董品・切手・コインコレクションなど。アイテム名・評価額・証明書・鑑定書なども記載。
- マイナス資産
- 住宅ローン・自動車ローン・カード・借金など。
『財産目録』を作成することであなたの財産管理や確定申告、相続や保険契約など様々な場面で必要な情報を正確に把握することができて、スムーズな手続きや問題解決に役立つことになります。
デジタルデータの整理
亡くなった方のパソコンや、スマホにあるデータも遺品となり、一般的には『デジタル遺品』と呼ばれています。
これらも事前に整理しておくことで、遺族の負担を減らすことができます。
スマホやパソコンはパスワードでロックされていることがほとんどで、いくら親族とはいえ中身が見られないことが多いです。
ロック解除を依頼できる業者などもいますが、高額であったり期間がかかる傾向にあります。デジタルデータには、下記のような項目があります。
- 電話帳
- 写真や動画
- メール
- ネット銀行・証券
- SNSアカウント(Twitter・Instagram・ブログなど)
上記の中でいちばん問題になるのが『ネット銀行・証券』で、これらは遺産相続の対象となります。親族もやっていたことを知らない場合だと、あとから相続問題で面倒になるケースもあります。
また親族とはいえ、プライベートで見られたくないデータもあるかもしれません。
このようなデータは、生前に整理しておくのが難しいとされています。『一定期間ログインされないと消去される』といったアプリなどもあるので、活用してみてもいいかもしれません。
電話帳も見れないと、親族も葬儀を友人に伝えることができなくなります。エンディングノートや遺言書にログインパスワードを記載しておくことで、残される親族に迷惑を掛けることがなくなります。
現代では物だけでなく『デジタルデータ』も生前整理の対象物となってきました。
サービスの解約・見直し
利用しているサービスや契約をリストアップし、現在も必要かどうか見直しましょう。
状況が変わったり新たなサービスが登場したりして、今の契約が不要になることもあります。また同じ種類のサービスを契約していないか、見直すきっかけともなります。
具体的には、下記のような項目があげられます。
- 携帯電話・インターネット
- 有線テレビ・映像配信サービス
- 雑誌・新聞
- クレジットカード
- 保険契約
- 月額のサブスク(音楽配信・動画配信など)
- 銀行口座(不要な口座を閉鎖)
- 会員制サービス・ポイント
生前整理のサービスの解約・見直しは無駄な支出を減らし、心と財布の負担を軽くするための重要な作業になります。
自分に合ったサービスを利用することで、より充実した人生を送ることができることでしょう。
【気持ちの整理】生前整理やること一覧
生前整理は、気持ちを整理する時間でもあります。
遺される親族に伝えたいこと、自分の人生を振り返ったりと、このような時間の使い方は今まであまり経験がなかったかもしれませんね。
気持ちの整理やることリスト
- 遺言書の作成
- エンディングノートの作成
- 思い出の整理
- 人生の振り返り・これからのこと
では解説していきます。
遺言書の作成
遺言書とはあなたが死亡した際に財産の分配や、将来をどのように行うかを示した『法的文書』のことです。
遺言書を作成することで自分の意志に基づいた財産の管理や、家族間のトラブルを未然に防ぐことができます。遺言書には、3つの種類があります。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
あまり知られていないので、それぞれ解説します。
自筆証書遺言 | 自分の手で全文を書き、日付と署名・押印をする方法。 遺言書の作成が最も簡単で特別な手続きが不要ですが、内容が不明確だとトラブルの原因になる。 |
公正証書遺言 | 公証人が立ち会いのもと、遺言者の意思を記録し作成する方法。 法的効力が強く内容についての紛争が起こりにくいが、費用が発生する。 |
秘密証書遺言 | 遺言者が自分で書いた遺言書を公証人に預け、封印する方法。 遺言内容を秘密にしたい場合に適していますが、費用が発生する。 |
遺言書を作成 することは、遺産の分配や親族間のトラブルを防ぐために重要になります。
エンディングノートの作成
エンディングノートとは死後の手続きや、自分の希望を記録し遺族に伝えるためのノートのこと。法的な効力はないので『自作のノート』でも『紙切れ』でも、形式はなんでも問題ないです。
エンディングノートを作成しておくことで、下記のようなメリットがあります。
- 遺族への負担軽減
- 手続きの円滑化
- 自分の意志や希望の伝達
- 遺産分配のトラブル防止
- デジタル資産や重要書類の管理
遺された親族は、死後の問題をスムーズに解決することができるようになります。エンディングノート には、下記のような項目が書かれることが多いです。
- 基本情報
- 氏名・生年月日・住所・血液型・学歴や職歴・マイナンバー
- 医療情報
- 病歴・アレルギー・服薬情報・かかりつけ医・病院
- 介護情報
- 介護保険・施設希望
- 財産情報
- 預金・不動産・貴重品
- 保険情報
- 生命保険・年金
- 葬儀・お墓の希望
- 葬儀スタイル・規模・参列者・墓の場所・デザイン
- 遺言・遺産分割希望
- 遺言内容・遺産分割方法・遺産管理人指名
- パスワード・デジタル資産管理
- インターネットバンキング・SNS・メール・デジタル資産
- 重要書類保管場所
- 戸籍謄本・印鑑証明書・運転免許証等
これらを整理・記載し遺族に伝えることで、死後の手続きがスムーズに行うことができます。
思い出の整理
思い出の整理とは自分の人生の振り返りと、不要な物を手放す作業のことです。
思い出の整理は懐かしくもあり、自分がどのような人生を歩んできたかを再確認することができます。
本当に必要なものだけを残し、他の物は処分や寄付をすることで心の余裕が生まれ、残りの人生の新しいステージに向かう準備もできます。
思い出を整理する品として、具体的には下記のような物があげられます。
- 写真・アルバム
- 手紙・日記
- 記念品
- 賞状・トロフィー
- ビデオ・DVD
不要な物は少しでも処分することで断捨離ができて、残される親族の負担も減らすことができます。
自分がどのような人生を歩んできたかを再確認し、新たな人生のステージに向けて心の準備もできるのではないでしょうか。
人生の振り返り・これからのこと
生前整理は物の整理だけでなく自分の人生を振り返り、これからの人生に向けて整理をする時間でもあります。
自分の人生を振り返ることで大切な物や、人とのつながりが見えてきます。
もしかすると、まだやり残したことが見つかるかもしれません。今後の人生について考え、新しい目標を立ててみてください。
自分がどのように過ごしたいかを明確にすることで、意義深い人生を送ることができますよ。
生前整理は自分自身と向き合うことができる大切な時間でもあります。ぜひ時間をかけて無理せず、ゆっくりと進めてください。
【やっておくと便利】生前整理でやること一覧
ここからは生前整理で、やっておくと便利なことを紹介します。
上記でも紹介した、遺言書やエンディングノートも作成しておけば便利なのですが『言われてみればそうかも』と思えるような、2つを紹介します。
生前整理でやると便利なこと
- 友人リストの作成
- 家族へメッセージ
では解説していきます。
友人リストの作成
- 友人リストとは、友達や知人などの連絡先をまとめた表のことです。
作成しておくことで遺された親族は、あなたが亡くなった後に関係者への連絡、お別れの挨拶などをスムーズに行うことができます。
具体的には、
- 親族に連絡を取ってほしい、友人や知人をリストアップ
- 連絡先情報を記載。住所・電話番号・メールアドレス・SNSアカウントなど
パソコンやスマホに残しておくと、遺された親族は気づかない可能性もあります。なのでノートなど、手書きで残しておくことをおすすめします。
見つけやすい場所に保管するか、あらかじめ親族にリストの存在を知らせておくことで、連絡をして欲しい人に確実に伝えることができます。
家族へメッセージ
家族へのメッセージを残すことで、亡くなった後に伝えたい想いや、感謝の言葉、自分の希望などを伝えることができます。
これにより遺された親族は、あなたの意志や気持ちを知ることができます。
書く目的を明確にして、分かりやすく書くことがポイント!
具体的には、下記のような内容を書くのが一般的です。
- 謝罪の言葉
- 感謝の言葉・愛情表現
- 思い出・エピソード
- 家族へのアドバイス
- 病気・介護・医療への意思表示
- 葬儀・お墓などの希望
- 遺産・資産についても記載することはできますが法的な効力を持つわけではないので、このような内容を書く場合には遺言書のほうがおすすめです。
生前整理を通じて家族に向けたメッセージを残すことで、心の整理ができるだけでなく家族にとっても心の支えとなります。